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2009 年08 月01 日

第9回行政法研究フォーラム〜第二次行政訴訟制度改革の必要性

第9回行政法研究フォーラムに出席するために東京・専修大学まで行って来た。
平成16年行政事件訴訟法改正から5年を経て、第2次行政訴訟制度改革の必要性を検討するのがテーマである。

議論は、新たな提案である、行政計画争訟としての都市計画決定に対する争訟についての大橋報告に集中した。都市計画に対する審査請求を認めその裁決に対して訴訟を行う方式と都市計画の違法確認訴訟方式の二つの提案がなされた。いずれも本年3月の都市計画争訟のあり方検討委員会・WG報告書にまとめられている。

平成16年改正当時は最高裁も小田急事件や在外邦人選挙権確認事件で画期的な判決を矢継ぎ早に出した。しかし、現在は、下級審レベルでは、法改正のメッセージも、このような最高裁のメッセージも忘れ去られているのではないか。
国民の権利利益の実効的救済を図るというのがそのメッセージであるのに、「原告適格があるのかどうかを先に検討しましょう、本案審理はその後にしましょう。そうでないと争点が不必要に拡大するだけですから。」と平気で公言する裁判所がある。それも、被告行政側が本案について反論立証しようとしているのを遮って。行訴法9条2項は、橋本報告にあったとおり、処分要件説として理解するべきであり、結局それは違法判断を訴訟要件レベルに取り込むものだから、原告適格の審査として本案審理をしろという趣旨だ。それを全く理解していない。

執行停止は「回復困難な損害」ではなく「重大な損害」があれば認められるように要件が緩和されたのに、執行停止が最も認められるべき区画整理の仮換地指定処分の執行停止申立事件でも、仮換地による損害は財産的損害で事後的に金銭賠償が可能だから重大な損害はないとして却下する(斉藤報告は大阪地裁の例を引いたが、東京高裁でもそうだ。)。

最高裁平成20年大法廷判決は、実効的権利救済を図るために事業計画の処分性を認めたはずなのに(それは、仮換地指定処分を争っても権利救済が十分に図れないからだというのが理由である。)、そのメッセージが伝わっていない。

それどころか、国民の権利救済の範囲を拡大するための事業計画の処分性肯定判決であったのに、下級審レベルでは、現に係属中の仮換地指定処分取消訴訟で、「事業計画の処分性が肯定された以上、仮換地指定処分取消訴訟で事業計画の違法性を争点とすることはできないのではないか」ということを、被告施行者側も問題にしていないのに、裁判所が真っ先に問うてくる。それも全国一斉に。

鳴り物入りで始まった当事者訴訟(公法上の確認訴訟)なのに、裁判所は、当該行政指導が原告の権利利益をどう侵害しているのか、といって確認の利益を厳格に要求してくる。原告の権利利益を侵害しているなら、当該行政指導には処分性が認められ、取消訴訟で争えるではないか。処分性が否定されたときのための、処分性拡大論に代わる確認訴訟であったのに、そんなことはおかまいなしだ。

16年改正に続く第二次行政訴訟改革の前に、まずは16年改正を現場に周知徹底することから始めるべきだろう。それができないのなら、行政裁判所を創設することだ。

投稿者:ゆかわat 22 :34| ビジネス | コメント(0 )

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